ごはん日記
どうしても、どうがんばっても、仲良くなれないひとがいた。
私の接し方の問題なのだろうな、と思ってはいた。
香り立つ個性のあるそのひとが、たまたま私と合わないだけで、そのひとの問題ではないのだと。
熱狂的にそのひとのことが好きなひともいるし、あまりの強い個性に遠巻きにして、関わらないようにするひともいる。
もしかしたら、あなたも、そういう経験があるかもしれない。そのひと、セロリの葉と。
スープがいいよとか、サラダがいいよとか聞いて試しても、どうもおいしくできなくて、途方にくれることが多かった。
それが、ひょんなことから、すっかり仲良くなれてしまったのだ。
葉だけをむしり、すごーく細かく刻んで、オリーブオイルで炒め、塩をする。それだけのことで。
あれほど癖が強かったひとから、苦手な香りや後味が魔法みたいに消えて、コクのあるうまみがじわじわ出る。オイルのおかげで色が濃く深まり、すこしパリッとさえしたセロリの葉は、あのつっけんどんな表情のかわりに、極上の笑顔で微笑んでるみたいだった。
葉をむしったあとの茎を細かく刻み、鶏と、鶏スープのもとと、きのこソースのもとを足して、スープパスタに。たまたま残っていたパスタが2.2mmの太麺だったので、1/3の長さにポキポキ折って、全てを鍋に放り込んで煮た、お手軽スープパスタ。
仕上げに、たっぷりのセロリの葉と、アクセントにハリッサ(アリッサ)を加えて。
曇り空からぽつぽつ降りはじめた雨に耳を傾けながら、いただきます。
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