定禅寺通りでお茶を

『うしろむき夕食店』、二の皿に登場する、禅次郎。禅ちゃんの名前は、地元・仙台の大好きな並木道、定禅寺通り(じょうぜんじどおり)から、「禅」の一字をいただきました。

仙台と言えば出てくる、緑あふれる道の風景は、このけやきの並木道なのです。

高校生の時に通っていたお稽古事のレッスン場がこの近くにあり、亡き父が勤めていた職場も近く、私には思い出深く、いまでも大好きな風景です。

公園と公園を結ぶように連なるけやき並木、四季おりおりにうつくしい風景ですが、とくに初夏が好きでした。五月の澄んだ空に光るような新芽の萌える頃。冬になれば、枝ばかりになった木々がイルミネーションをまとい、光の並木道になります。

この通りにある昔からの喫茶店で、樹々を見ながらゆっくりとコーヒーや紅茶をいただくのが、昔も今も、帰省の際の楽しみです。(もっとも、駅と実家を往復するだけの帰省が多く、喫茶店に立ち寄れるのは数年に一度あるかどうかなのですが)

たいせつな風景は、そのときの気持ちごと、胸に積み重なっていくのだなあと、改めて思うのです。高校三年の時、レッスンの帰り道に見上げたけやきの葉のこもれびを、いまも鮮やかに思い出します。この風景が好きだなあ、と思ったのでした。きっといつかそういう気持ちごと思い出すんだろうなあ、という予感とともに。

父の命日に合わせて、一瞬だけ帰省できることになったので、わずかな滞在時間ですが、並木道を歩いて来ようと思います。


追記。
母と二人、なつかしい並木道と、なつかしいコーヒー店に寄ることができました。
はなうたとくちぶえ

はなうたとくちぶえ

冬森灯

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