ご縁のこと

ご縁て、なにがなんでも、大切にしないといけないと思っていました。握りしめておかなくちゃ、って。でも、違うんですね。

大切なご縁は残り、そうでないものは消えていくんですね。

消えていくものを無理に握る必要なんて、なかったのですね。

今日、傘をなくしました。置き忘れた場所も、わかっているのです。家についてから、あ、あそこに、と、思い出しました。

ある画廊なのです。傘をなくしたのは、たぶん、人生で初めてです。その画廊に飾られていた作品があまりにも素敵で、10数点の作品をかわるがわる1時間以上、堪能させていただきました。画廊を出て、そとのウインドーに展示されていた作品を見つめ、そのまま帰ってきました。画廊の出口、ウインドーと反対側に、傘立てはあったのでした。

傘を忘れるほどの感動。

(傘をなくしやすい方にはきっと理解されないでしょうが、どんなことがあっても、手に感触が残っているというか、手が覚えていて、いつも傘を忘れないのが、私の癖なのです)

いっそ、清々しかった。

傘忘れるほど(私にはかつてないほどの大事件ですから、笑)の感動を与えてくれた作品、作家に、なおのこと感動し、納得し、感謝しました。

朝、傘を手にしたとき、柄に巻かれた革がすっかりボロボロになっていたのを知りながらも、まだ使えるし、と、処分するにはしのびない思いを抱えたのでした。

傘はなくなるべくしてなくなり、作品に出会うべくして出会い、私はまたこの素晴らしい一日を生きている。

素敵なことだと、思いました。


>>>その作品>>>土屋仁応さんの彫刻作品(美術手帖サイトへ)

はなうたとくちぶえ

冬森灯

0コメント

  • 1000 / 1000