図書館と

◆古い、豆本に出逢った。

子どものための本のようで、名刺大くらい。金の紙に、ぷっくりと載ったインクがもう、かわいらしい。モノとしての本の魅力にすっかりまいってしまった。

レトロな絵。また、紙が、たまらない。横筋が透ける厚手の紙は、バンクペーパー?見た感じ、活版ではなくて、復刻版にも思える。

けど、鮮明に当時の印刷の感じが出ていて、文字がインクののりで微妙につぶれたりかすれたりしてるのがまた、きゅんとする。

本は大好きだけれど、そこには、アナログな、紙やインク、印刷具合の、モノとしての魅力もある。


◆私は、図書館では資料本は借りるけれど、基本的には、買って読む派。

(余談だけど好きな作家さんの好きな作品は、単行本で買う他、文庫本を2冊買う。もちろんどれも同じ作品なのだけど、単行本はモノとしての魅力を楽しみ、文庫本は持ち歩いて読み、もう一冊の文庫本は人に貸したりあげたりする。あげたつもりが返されて2冊並んでいる本もいくつか笑。そしてスペースに入りきらなくなって泣く泣く人にもらってもらう。嫁に出す気分で)

ちなみにこの豆本とは図書館のリサイクルマーケットで出逢った。

「今日は他のイベントもいろいろあるけど、ここは絶対来たくて。 本がもらえるんだもの」と興奮ぎみに話すひとが何人もいて、まわりの人たちがみんな同志の目で人知れず頷いていた。(※正確にはもらえるのではなく1冊あたり決められた寄付をします)

私が好きだった本を持っている見知らぬひとに「その本すごくいいですよ!」と話しかけたくなる衝動とたたかうのも、悪くない。

なんだかみんな、図書館のこどもたち、という気がした。ご年配の方と小さな子どもをつれた家族が多かったけど、本でつながっている、こどもたち。みんな。

本が好きな人は減っているわけじゃないんだろう、と、思った。好きな人は好きなのだ、きっと昔もいまも。


◆好きだけどなかなか買えない、といっている人もいた。さきざきを考えるとものが増やせなくて、と話している人もいた。本棚のスペースがね、と気にしている人もいた。

うんうん、わかる、わかりますよ…

私も福田平八郎全集を諦めたんですよ……、判形が大きすぎて本棚に収まらないので、泣く泣く手を離したんです。あんな素晴らしい一冊が手元にあったら、毎日眺めてしまって、何も手につかないんじゃないかとも思うので、図書館にあるくらいがちょうど……、いや、でも、その図書館から放出されているのか、そうか……(煩悶)

持っていった鞄を本でぱんぱんにして、ほくほくと帰りつき、家に帰って「どこに置くの!」と叱られるパターン。ええ、想定内ですとも。でも大丈夫!

胸を張って言います。

2冊は、豆本ですから!

そして半分は文庫本ですから!

単行本に比べたらスペースは減っています!

えっへん。

(それでもやっぱり、叱られた)

はなうたとくちぶえ

冬森灯

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